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[news] 『I LOVE KIORI』展

1本1本はたおり機で織られたという自由な手織りの生地の展覧会が、尼崎市・武庫之荘の雑貨屋GLADBERRYで行われます。写真を見られて少しでも興味がある方には、ぜひ実物をご覧いただきたいと思います。百聞は一見に如かず、ハンドメイドのかっこよさに圧倒されます。期間中には生地の計り売りもされているそう。
明後日デザイン制作所ではお店の方と一緒に、DMをつくらせていただきました。

I LOVE KIORI - handmade woven exhibition
6/15 Tue. -7/4 Sun. 2010

GLADBERRY
661-0033 兵庫県尼崎市南武庫之荘1-5-15
Tel. 06-4962-6056
定休日 月曜日
営業時間 AM 12:00〜PM 8:30

05/26, 2010 - news

[diary] 常識のカタチ

自分が住んでいるマンションの理事会にて。理事会といっても階下のおじさんと2人。お年寄りが増えてきている住人の中ではそのおじさんも若手で、私にいたってはひよこみたいなもんだ。特にこれといった議題があるわけではなく、3Fに新しい人が入ってくるみたいだね、小さいお子さんもいるみたいだよ、とか、世間話なんかを交えながら、理事長であるおじさんの報告を聞く。もしかすると来年、自分がその役をしないといけないかもしれないのでまじめに聞いておく。

そうして一通り、義務的な話が終わった後の雑談中に、常識っておもしろいよね、という話になった。住人にはいろんな人がいて、当たり前のことながら、それぞれがそれぞれにいろんなことを考えながら暮らしている。その中に、みんなで使用している駐車場に防犯灯を付けた人がいるそうだ。屋外にあって、関係者以外の人でも簡単に出入りができるので、何回か車上荒らしもあった場所だ。防犯灯は、それを付けた人がよかれと思ってしたことだし、費用や手間も負担しているらしい。もしかすると駐車場を利用する人はみんな感謝していたかもしれない。ただ、理事長の立場としては、無断で公共の場所に個人的なものを付けることに対して、注意せざるをえないのだと言う。確かに「ここに花があるときれいだと思って」とか言って、廊下の壁に造花なんかを飾られると非常に困る。ルールとしては総会で承認をえないといけないのだ。「常識的には悪いことだとは思わないので、他から苦情が出るまでは黙認するんだけどね」と困った顔で、理事長の立場の面倒臭さを教えてくれる。

小説だったか、何かの本で読んだんだけれど、と前置きをしてから理事長のおじさんが言うには、「それは法律のことだったけれど、法律は点と点をゴムひもで結んで枠を作っているようなものなんだって。そのゴムひもの引っ張り方で枠のカタチはいかようにでもなる。ただ、点に近いところだとあんまりカタチは変わらない。これと同じで、一応ルールとして点はうつけど、常識のカタチがあるわけじゃないしね」。さらに「常識って実際に、そんなはっきりしたものがあるわけじゃないのに」と、おじさんは2chで読んだ(!)という話もしてくれる。「UFOを信じて研究している人が、基地があると噂される田舎に出かけて行って探すんだけれど見つからない。途方に暮れているところで出会った農夫に、ここらへんで怪しい光を見たことがないか、と尋ねると、そんなのしょっちゅうだ、という答え。研究者がよろこんで、どの辺りなのかとさらに聞くと、農夫はそんなもんを探してどうするのか、と逆に質問。研究者が、実はUFOの基地を探しているんだと話すと、農夫が大笑いして、UFOなんかいるもんか、あれはキツネの仕業に決まっとるがな、だって」。

結局、マンションの理事会らしい話は早々に終わって『常識』の話ばかり。月に1度の理事会は、ほんと言うとじゃまくさいのだけれど、こういう話ができるのなら悪くない。住人それぞれの常識に、これからもゴムひものようなものでカタチを付けていく。

05/19, 2010 - diary

posted by Satoshi Kondo

[diary] 「用の美」と「要の美」

連休中に家族で、友人の祖父母宅へとお邪魔した。携帯の電波も届かない山奥にある。家の前には川が流れ、着いたらすぐにその冷たい水で顔を洗う。家のすぐ裏は山で、食事の前にはそこへタラの芽や山椒の芽、すでに名前も忘れてしまった山菜を採りにいく。竹林もあって、たけのこも掘らせてもらう。川へと続く湧き水の流れる所にはわさびも生えている。土の加減か、根の部分の、いわゆる「わさび」は採れないそうだが、葉を醤油漬けにしたものをいただいた。近所の、といっても周りに住んでいる人はほとんどいないのだけれど、猟師さんにもらったという鹿の刺身も初めて食べた。そうして、食後には縁側で昼寝。川の流れる音と、時々聞こえる鳥のさえずりがBGMになる。

そんな豊かな(過酷でもある)場所で暮らす(80歳を超えてなお、どんぶりでご飯をおかわりしていた!)おじいさんは、必要な道具を可能な限り自分で作ってしまう。出来上がったモノを見ていると、どうしても「用の美」という言葉が思い出されるけれど、同時に、必要に迫られて作った道具には「要の美」が備わることを知った。
時々、こうして非日常の空気を吸うと、普段の生活と自分の作るモノを見つめ直すいいきっかけになる。

05/07, 2010 - diary

posted by Satoshi Kondo