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[diary] 「用の美」と「要の美」

連休中に家族で、友人の祖父母宅へとお邪魔した。携帯の電波も届かない山奥にある。家の前には川が流れ、着いたらすぐにその冷たい水で顔を洗う。家のすぐ裏は山で、食事の前にはそこへタラの芽や山椒の芽、すでに名前も忘れてしまった山菜を採りにいく。竹林もあって、たけのこも掘らせてもらう。川へと続く湧き水の流れる所にはわさびも生えている。土の加減か、根の部分の、いわゆる「わさび」は採れないそうだが、葉を醤油漬けにしたものをいただいた。近所の、といっても周りに住んでいる人はほとんどいないのだけれど、猟師さんにもらったという鹿の刺身も初めて食べた。そうして、食後には縁側で昼寝。川の流れる音と、時々聞こえる鳥のさえずりがBGMになる。

そんな豊かな(過酷でもある)場所で暮らす(80歳を超えてなお、どんぶりでご飯をおかわりしていた!)おじいさんは、必要な道具を可能な限り自分で作ってしまう。出来上がったモノを見ていると、どうしても「用の美」という言葉が思い出されるけれど、同時に、必要に迫られて作った道具には「要の美」が備わることを知った。
時々、こうして非日常の空気を吸うと、普段の生活と自分の作るモノを見つめ直すいいきっかけになる。

05/07, 2010 - diary

posted by Satoshi Kondo

[diary] 『美少女町おこし』に触発されたこと

昨日の新聞におもしろい記事が載っていた。『美少女町おこし』というタイトルの、町おこしや地域ビジネスについての記事。山内貴範という人が大学時代に、故郷で「美少女イラストを使った町おこし」を企画し成功したことに影響を受け、全国的に同様の商品が増えている、が、多くが単なる「美少女で売る」という点だけに着目し、地域資源を生かすということを忘れてんじゃないか、という主旨。その中に、『6年前、19歳の時に世界遺産である岐阜県の白川郷を訪れ、衝撃を受けた。感動したのではない。「故郷の風景と同じじゃないか」と思ったのである。』という部分が。

読みながら色々と感じるところがあったので、普段はそんなことしないが切り抜いてとっておいた。
触発されたところの一つは、二番煎じ案について。
以前にデザインをしたあるブランドが少しずつ認知され、当初に設定していた目標を超えるくらいに広がりを見せ始めた頃、後発の同業他社が、まあ平たく言えば世界観をパクった。お客さんが勘違いするくらいだから、客観的に見ても似ていたと考えて差し支えないだろうと思うが、チラシの紙質まで同じというくらいの徹底ぶり。かと言ってマネをするな、と抗議できるほどは同じでもない、という、まあよくある話だけれど、うまくやられたわけである。これに関しては、ブランディングを担当した側からすると、マネをしたくなるくらい魅力があり効果的であったと考えることもできるし、クライアントのビジネス的な観点からしても、その領域の認知拡大、定番化ということから悪くない、とすることもできる。(というか、そう考えないとやってられない。)一番重要な、本質的なところはマネできないわけだから、今後のことは取り組み方次第、ということになる。つまりは、「美少女イラスト」が受けたからそれを、というだけでは、次の手が考えられなくなる、ということ。次に何かが成功すればじゃあそれを、ということになって、それではおそらく町おこしは継続していかない。
個人的には、以前にニュースかなんかで見た『萌え米』とか買う気もしないけれど、一番重要で本質的な「地域資源を生かすということ」から発案された企画は、表層が変わっても、続けてうまくいく可能性が高いんじゃないかと思う。実際、この記事の最後には『美少女イラスト以外の企画も構想している』とあるし、いまは「地域の人材育成」に力を入れているらしい。先に書いた、今後のことは取り組み方次第、ということを考える場合にも、表層だけを考えていてはいけないというお話。

続いて、触発されたところの二つ目。世界遺産に行ったら故郷と同じだった、という部分。記事内では『「うちの地域には何もない」と言う人は多いが、私は「どんな町にも優れた資源がある。それを生かすことを知らないだけだ」と考えるようになった。』とある。
私の実家も「ド」は付かないけれど、そこそこの田舎である。そこに、ずいぶん前のことだけれど、市場というか、でかい八百屋というか、地元の人が作った野菜や果物、お漬け物やお弁当などが売られている建物ができた。生産者の名前が入ったシールが貼られた簡素な包み。値段が安くて、何よりおいしい。スーパーで買うのがバカらしくなるくらいに充実している。できた当初はガラガラだったのも、今では県外から買いにくる人も多く、朝一番に行っても駐車場に入れないほど盛況のよう。流通のことはよく知らないけれど、野菜や果物は以前からそこで作られていたわけで、誰かがその「売り場」(=その土地の優れた資源を生かす方法)を新たに作ったということになる。スーパーに運ぶのではなく、作っているところまで来てもらう。
『町おこしは、住んでいる地域を丹念に見ることから始まる』という記事の内容と合わせて、今まであったものの見方を変えればその魅力が急に立ち現れてくるという「目利き」の能力というものを、改めて大切にしたいと思った次第。

04/15, 2010 - diary

posted by Satoshi Kondo

[diary] ありがとうございました!

昨日の日曜日、無事、事務所オープンのお知らせをさせていただくことができました。お休みにもかかわらずお越しいただいたみなさま、お手伝いいただきましたみなさま、本当にほんとうにありがとうございました。いろいろと不行き届き&ご迷惑をおかけしたこともあったかもしれませんが、お祝いの席に免じて、ご容赦いただけると幸いです。
さて。
「オープニング」なのに、今これを書いてる時点で、終わった感でいっぱいなのが我ながら気がかりですが、形式的にもけじめがついたので、改めて新鮮な気持ちでデザインに向き合っていきたいと思います。ここのblogのページでも、近況やお知らせ等、デザインに関係あることもないことも合わせて、綴っていきたいと思います。
みなさまどうか、今後ともよろしくお願い致します。

03/29, 2010 - diary

posted by Satoshi Kondo